【天王寺の概要と歴史】
東京都台東区谷中に位置する天台宗の寺院「天王寺」。鎌倉時代に日蓮宗の「感応寺」として創建されたと伝わり、のちに江戸幕府の命により天台宗へ改宗して現在の名称となりました。江戸時代には富くじ興行が盛んに行われた寺としても知られ、境内には東京都指定有形文化財である見事な「銅造釈迦如来坐像(谷中大仏)」が鎮座しています。また、明治期に焼失したかつての五重塔は、幸田露伴の名作小説『五重塔』のモデルとしても広く知られており、谷中の歴史と文学の薫り漂う名所です。
【歴史と由来】天王寺の歴史と由来
天王寺(てんのうじ)の創建は、鎌倉時代の文永11年(1274年)と伝えられています。日蓮聖人が安房国(現在の千葉県)から鎌倉へ向かう途中に、この地の領主であった関小次郎長耀(せき こじろう たてあき)の屋敷に宿泊したことが始まりとされています。長耀が日蓮聖人に帰依して草庵を建立し、後に日蓮の弟子である日源(にちげん)が法華曼荼羅を勧請して開山しました。当時は日蓮宗の「感応寺」でしたが、不受不施(ふじゅふせ)派という強い信念を持つ一派に属していました。徳川幕府はこれを禁教とし「天台宗に改宗するか、さもなくば廃寺か」という厳しい二択を迫られ天台宗への転換しました。
天台宗の寺院であり、正式名称は護国山尊重院天王寺(ごこくざん そんじゅういん てんのうじ)です。
【ご本尊とご利益】ご本尊が授ける開運招福・諸願成就のご利益
御本尊は、阿弥陀如来(あみだにょらい)を祀っております。
御本尊に加え、境内に祀られている強力な神仏から多様なご利益を授かることができます。
- 極楽往生・現世安穏(御本尊:阿弥陀如来):人々のすべての苦しみや不安を救い、穏やかな心をもたらすとともに、亡くなった後に極楽浄土へ導いてくださるご利益があるとされています。
- 武運長久・勝負運・開運厄除(谷中七福神:毘沙門天):境内の毘沙門堂には、「江戸最古の七福神」の一つである毘沙門天(天外天)が安置されています。戦いの神、福徳の神として、受験や勝負事への「勝利・成功」や、災いを払う「厄除け」の強いご利益で信仰を集めています。
- 諸願成就・病気平癒(銅造釈迦如来坐像):参道に鎮座する大きな元禄の大仏(元禄3年・1690年建立の台東区有形文化財)は、その穏やかなお姿から地域を優しく見守る象徴であり、心願成就や身体健全を願う人々が手を合わせます。
【天王寺の見どころ&参拝ルート】
【谷中大仏(釈迦如来坐像)】江戸時代の面影を残し境内で穏やかな表情を見せる歴史ある谷中大仏

山門を入って右手に鎮座する、高さ約4.8メートルの大きな銅製の大仏です。

1690年(元禄3年)に鋳物師の太田久右衛門によって造立された物で江戸時代の鋳造技術の高さを示しています。現在は台東区の有形文化財に指定されております。
また、東京の乗蓮寺にも『東京大仏』として親しまれている大仏像が鎮座しています。姿形は他所の大仏に似ているものの、阿弥陀如来を本尊としているのが特徴です。
【本堂】境内の中核をなし厳かな佇まいで参拝者を迎える荘厳な本堂

現在の本堂は、奈良の国宝「十輪院(じゅうりんいん)」を模して再建されており伝統的な寄棟造(よせむねづくり)の屋根に、流れ向拝(屋根の突き出し)を持たないすっきりとした構成で、列柱が立ち並ぶ静かな佇まいが印象的です。

本堂横には枝垂桜が配置されており桜の時期は綺麗ですね。
【毘沙門堂】谷中七福神の一つにも数えられ商売繁盛や勝運の信仰を集める毘沙門堂

江戸最古の七福神巡りとされる「谷中七福神」のひとつとして、毘沙門天が祀られています。本堂に安置されている毘沙門天像は台東区の有形文化財に指定されています。

毘沙門堂の前にも桜が咲いており絵になります。
【富くじの発祥地】江戸時代に幕府公認の富くじ(富興行)が行われた歴史的ゆかりの地

江戸時代、目黒不動や湯島天神と並び「江戸の三富」と呼ばれた富くじ(現在の宝くじのようなもの)の興行が行われた場所としても知られています。強引な改宗があったからこそ、江戸幕府の厚い保護を受けるようになり、「江戸の三富」が行われるほどの有力寺院へと発展したという皮肉な側面もあります。※画像は国立国会図書館所蔵の物
【谷中霊園 さくら通り】寺院の周辺に広がり美しい景観を見せる歴史ある谷中霊園のさくら通り

谷中霊園には、約160本のソメイヨシノが約200mにわたって続く「さくら通り」があります。ここは上野公園のように混雑しておらず、ある意味穴場なのかもしれません・・・しかし、散策する日本人がほとんどおらず、外国人が多かった印象です。
【赤羽八幡神社の現地参拝レポート&独自評価】
天王寺 現地レビュー・評価スコア
| 評価項目 | スコア | 特徴・ワンポイント |
|---|---|---|
| アクセス | (5.0) | JR山手線・京浜東北線などの「日暮里駅」南口から徒歩約3〜5分と抜群のアクセスの良さを誇る |
| 歴史・由緒 | (4.0) | 鎌倉時代創建の古刹で、江戸十方寺の一つ。谷中大仏や幸田露伴の小説『五重塔』のモデル地としても有名 |
| 自然・景観 | (3.0) | 谷中の落ち着いた寺町の一角にあり、手入れの行き届いた境内と豊かな植栽が調和する |
| 規模 | (3.0) | 本堂、美しい銅造釈迦如来坐像(谷中大仏)、歴代の墓所などがゆったりと配置された境内 |
| 静けさ | (2.0) | 人気観光地である谷中霊園や散策路に隣接するため、日中は観光客や参拝者で比較的賑わいがある |
| 御朱印種類 | (1.0) | 授与品や御朱印の対応は控えめとなっており、厳格な雰囲気を保っている |
現地レポ|実際に訪れた感想
現在の天王寺は、広大な谷中霊園の中に溶け込むように存在しています。過去のお寺としての勢力を削ぎ落とされた歴史が、整備はされているものの、孤立した空間のような感覚を抱かせます。谷中霊園は確かに桜が綺麗でしたが、「わざわざお墓にお花見に行く」という発想が日本人には無いので外国人がほとんどでした。個人的にも花見で霊園にはもう来ないと思います。
【あわせて巡りたい周辺観光スポット】
寛永寺、東京国立博物館、上野東照宮、不忍池辯天堂、根津神社
Kanataの神社・お寺めぐりナビ

