【熊野本宮大社大斎原大鳥居 概要】
和歌山県田辺市の熊野本宮大社旧社地「大斎原(おおゆのはら)」に立つ大鳥居は、高さ約34m・幅42mを誇る日本一の大きさの鳥居です。熊野本宮大社のかつての所在地であり、出雲大社の様な大規模な複数の社殿が並んでいましたが、1889年(明治22年)に発生した十津川大水害により大半の建物は洪水で流出しました。これを機に熊野本宮は現在地に移転されることとなります。現在は2000年(平成12年)にコンクリートで再建された高さ33mの大鳥居と参道や社殿跡の広場が残っています。

【歴史と由来】熊野修験の聖地・かつて熊野本宮大社が鎮座した大斎原
『皇年代略記』や『神社縁起』によると、紀元前33年(崇神天皇65年)に大斎原に社殿が建てられたのが始まりとされています。大斎原にあった櫟(いちい)の巨木に3体の月が天下りました。これを不思議に思った熊野の地元の者が尋ねると、真ん中の月が「我は家都美御子大神(けつみみこのおおかみ=素戔嗚尊)であり、両側は夫須美大神・速玉大神である。社殿を創って祀れ」と神のお告げを下したとされています。

大斎原は熊野川・音無川・岩田川の3つの川が合流する中洲です。古来より川が交わる場所は、あの世とこの世の境界、あるいは神霊が宿る特別な「聖地」として畏れられ、崇められてきました。1889年の水害により旧社地から現在の場所へ主要社殿が移転し2000年には日本一の大鳥居が建立され、現在も聖地として大切に管理されています。
新しい熊野本宮大社は徒歩圏にあり、先に大社にお参りしてから、こちらを散策するべきでしょうが、先に見たくなりますよね。
【ご祭神とご利益】家都美御子大神をはじめとする熊野三山の御神徳
大斎原に祀られていたご祭神は、家都美御子大神(けつみみこのおおかみ)は、素戔嗚尊(すさのおのみこと)と同一視されますが、本来は「食物の神」や「生命の根源を司る神」です。神仏習合において、家都美御子大神は西方極楽浄土の王である阿弥陀如来(あみだにょらい)の化身とされてきました。
ご利益は、生命の根源に関わるものから日々の暮らしまで多岐にわたり、主に「来世の救済・魂の再生」「開運招福」「産業・家内安全」の3つに大きく分けることができます。
全ての生命を産み出す力(産霊=むすひ)の象徴であり、この神が鎮座する中洲(大斎原)が女性の生命誕生の器官に見立てられたのは、熊野信仰の文脈として非常に自然な流れでした。
【神社の見どころスポット】
【鳥居へと続く一本道】田園風景の向こうにそびえる大鳥居の絶景

現在の熊野本宮大社から道路を渡り、大斎原へと向かうと、まずは田んぼの真ん中を通る一本のあぜ道を進むことになります。周囲に遮るものがなく、青々とした田んぼ(秋には黄金色の稲穂)の向こうに、巨大な黒い大鳥居がそびえ立つ姿をじっくりと眺めながら歩くことができます。鳥居へ向かう一本道や、周囲の田園風景、背景の山々とのコントラストは圧巻です。
【大鳥居】高さ約34m・日本一のスケールを誇る圧倒的なシンボル

大斎原の入り口に立つ高さ約34m、幅42mの大鳥居は一番のシンボルです。鳥居の中央(額束の部分)には、神の使いであり、導きの神とされる大きな「八咫烏」の紋章が掲げられています。
【杉木立の参道】静寂に包まれた緑のトンネルを歩く参道

鳥居の先からは、高くまっすぐに伸びた杉の巨木が両脇に並ぶ静かな並木道(参道)になります。一歩足を踏み入れた瞬間に、ひんやりとした厳かな空気に包まれ、周囲の雑音が消えるような感覚を味わえます。この杉木立から奥のエリアが「撮影禁止」の神域となります。スマホやカメラをポケットやバッグにしまい、五感で自然と神聖な雰囲気を感じながら歩く場所です。
【旧社地と広場】大社創建の記憶を残すふたつの石祠と聖なる原っぱ
杉木立の参道を約100メートルほど真っ直ぐ歩いて抜けると、パッと視界が開け、かつて壮大な社殿が建っていた広大な敷地(旧境内地)へとたどり着きます。現在は芝生や木々に覆われた静かな空間となっており、その奥に歴史の悲劇を伝える「石祠」が祀られています。

撮影禁止ですので、ぜひ、ご自身で確かめてください。現在の熊野本宮大社に移された上四社を除き、水害で流出した中四社・下四社が合祀された石の祠と摂末社の石の祠がお祀りされていますが、今なおすごい力を感じられました。
【音無川と水垢離の場】神域に入る前に身を清める聖なる川
当時の参拝者は熊野の険しい山道を歩き、この川で身を清めて参拝していたそうです。

大斎原は現在も3つの川(熊野川・音無川・岩田川)に囲まれています。かつて参拝者が川を渡って身を清めた「水垢離」の歴史を感じられる場所です。現在も河原まで降りることができ、透き通った美しい川の流れと、対岸の豊かな自然を肌で感じられます。
【四季の景観】春の桜や秋の黄⾦⾊の稲穂など季節ごとに変わる絶景

春の桜(3月下旬~4月上旬)は、鳥居の周辺や、かつての境内跡にたくさんの桜が咲き誇り、黒い大鳥居と薄ピンク色の桜の共演が見事です。初夏の新緑と秋の紅葉は、周囲の山々や杉木立が美しく彩られ、いつ訪れても厳かな空気に包まれています。

季節によって見せる風景はどれも良いですね。毎年の豊作を神社にお祈りし、自然の恵みを頂く、そんな昔を思い起こさせる景色でした。
【熊野本宮大社大斎原大鳥居の現地参拝レポート&独自評価】
熊野本宮大社 大斎原大鳥居 現地レビュー・評価スコア
| 評価項目 | スコア | 特徴・ワンポイント |
|---|---|---|
| 眺望・景観 | (5.0) | 高さ33.9mを誇る日本一の大鳥居と、のどかな田園風景・熊野の山々が織りなす威風堂々とした神聖な絶景 |
| 開放感・自然 | (4.5) | 熊野川・音無川・岩田川が合流する中洲に位置し、どこまでも広がる空と雄大な自然のパワーに包まれる空間 |
| 見どころ・満足度 | (4.5) | 神が降臨した地とされる熊野本宮大社の旧社地。世界遺産としての歴史的価値と大鳥居のスケール感は圧倒的 |
| 歩きやすさ・設備 | (4.0) | 熊野本宮大社から徒歩数分。鳥居までのアプローチや大斎原内は平坦に整備されており快適に散策可能 |
| 静けさ・爽快感 | (3.5) | 参拝者が絶えない人気スポットだが、大鳥居をくぐり森に足を踏み入れると厳かな静寂と清々しさが漂う |
| アクセス | (1.0) | 紀伊半島の山深い奥地に位置し、JR新宮駅や田辺市内から路線バス・車で1時間半〜2時間以上の長距離移動が必要 |
※明治22年の大水害まで熊野本宮大社が鎮座していた聖地「大斎原」。高さ約34m・幅約42mの日本一巨大な大鳥居が水田の真ん中にそびえ立つ景観は、熊野詣のハイライトとして世界中からの参拝者を魅了しています。
現地レポ|実際に訪れた感想
遠くから見ている時からその大きさに驚かされますが、近づくにつれてあまりのスケールの大きさに距離感がわからなくなるほど、圧倒的な存在感を放つ大鳥居です(高さ約34m、幅約42mという日本一の大きさを誇ります)。
季節ごとに見せる表情も格別で、大鳥居を彩る春の桜並木はもちろんのこと、初夏に水田へ水が張られる時期には水面に大鳥居が美しく映り込む「水鏡」の幻想的な景色が広がります。さらに秋には周囲の山々が色づく紅葉との美しいコントラストを楽しむことができ、どの時期に訪れても心打たれる絶景に出会えます。
大鳥居の周囲には遮るような余計な建造物が一切なく、ただ青空と広大な田園、そして熊野の山々が広がっています。この「何もない広々とした空間」だからこそ、かつてここに重厚な社殿群が立ち並んでいた歴史や、神々が降臨した聖地としてのエネルギーがダイレクトに伝わってきます。現代においてもなお、世界中から多くの人々が惹きつけられ参拝に訪れる理由が肌で実感できる、深く心に残る場所です。
【あわせて巡りたい周辺観光スポット】
熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社、花の窟神社
Kanataの神社・お寺めぐりナビ 

