【定額山 善光寺の概要と歴史】
長野県長野市にある善光寺(正しくは「定額山 善光寺」)は、約1400年の歴史を持つ日本最古の仏像(一光三尊阿弥陀如来)を御本尊とする無宗派の単立寺院です。宗派を問わずすべての人を受け入れる寺として知られ、「一生に一度は参れ善光寺」と言われています。
【歴史と由来】
創建年は644年(皇極天皇3年)と伝えられており、約1400年の歴史を持ちます。
日本に初めて仏教が伝来した際、百済から贈られた御本尊(一光三尊阿弥陀如来)は、廃仏派の排斥運動によって難波の堀江(現在の大阪府)へ投げ捨てられてしまいました。これを信濃国(現在の長野県)の住人であった本田善光(ほんだよしみつ)が見つけ、深く悲しんで故郷へ持ち帰り、最初はお堂を建てて手厚くお祀りしました。
その後、善光の息子である善佐(よしすけ)が亡くなって地獄に落ちてしまいますが、善光寺如来が閻魔大王に掛け合い、善佐を生き返らせます。その現世に戻る途中で、善佐は地獄で苦しんでいた当時の女帝・皇極天皇と出会い、如来の力によって天皇の魂をも救い出しました。この奇跡に深く感謝した皇極天皇の勅願(天皇の命令・願い)によって、644年に本格的なお寺(伽藍)が作られることとなりました。
このお寺は、御本尊を難波の堀江から救い出し、長年守り続けた「本田善光」の名前にちなんで「善光寺」と名付けられました。
【御本尊とご利益】
御本尊は、一光三尊阿弥陀如来(いっこうさんぞんあみだにょらい)を祀っております。
宗派を問わずすべての人を受け入れる無宗派の寺院として、来世の救いだけでなく現世の願いも幅広く叶えてくれるとされています。本堂の「お戒壇巡り」で錠前に触れることで阿弥陀如来と縁が結ばれ、大香炉の煙を浴びることで無病息災や病気平癒にご利益があると伝えられています。また、なで仏の「びんずる尊者」をなでると病気が治るともいわれています。
【善光寺の見どころ&参拝ルート】
【仁王門】 高村光雲らの名作・阿吽の仁王像

善光寺の仁王門(におうもん)は、表参道から仲見世通りへと切り替わる場所に建つ、国登録有形文化財の重厚な山門です。参拝者が境内に入る際に最初にくぐる「表玄関」であり、仏敵や邪悪なものが境内に入るのを防ぐ護衛の役割を持っています。

初代は1752年に建立されましたが、1847年(弘化4年)の善光寺大地震や1891年(明治24年)の火災などにより二度焼失しています。現在の門は1918年(大正7年)に再建されたものです。

門の正面左右には、仏教の守護神である「金剛力士像(仁王像)」が安置されていますが、通常の寺院とは異なり、向かって「左が阿形」「右が吽形」と左右が逆になっています。(※これは東大寺南大門などと同じ非常に珍しい配置です)。
その為、単なる置き間違いではなく、「すべての始まりに光を当て、終わりを静かに見届ける」という善光寺の深い祈りと建築美が込められた設計になっていると思われます。
【参道・仲見世通り】 石畳が続く賑やかな門前町
参道は、主に長野駅から仁王門までを結ぶ「表参道」と、境内に入ってから山門まで続く「仲見世通り」の2つのエリアに分かれています。仁王門から先の仲見世通りは活気にあふれるエリアで、約7,777枚の石畳の左右に、約40軒のお土産処、お食事処、そして歴史ある「宿坊(しゅくぼう)」がびっしりと軒を連ねています。

念のため注意点として善光寺の参道や境内は、毎朝ご住職が法要のために歩かれる神聖な場所です。そのため、歩きながら食べる行為(食べ歩き)は原則禁止とされています。店舗の敷地内、店頭のベンチ、または指定された休憩スペースに座って食べましょう。
【幸運のなで牛・六地蔵・ぬれ仏】参道沿いの見どころ
仲見世通りを抜けた先にある「善光寺境内案内所(観光案内所)」の内部に「幸運のなで牛」があります。ことわざ「牛に引かれて善光寺参り」にちなんで奉納された、青銅製の牛の座像です。

このお話から、「思いがけない他人の誘いや偶然の縁によって、物事が良い方向へ導かれること」を意味することわざとなりました。
「なで牛」の名の通り、頭や背中、脚など、自分の体の悪い部分と同じ場所を撫でると病気や痛みが和らぐ(または幸運が訪れる)とされています。長年多くの参拝者に撫でられ続けた結果、青銅の表面がツルツルに磨き上げられ、美しい光沢を放っています。

仲見世通りを抜け、いよいよ山門が目の前に迫る広場の右側に、大きな地蔵尊のエリアが現れます。
六地蔵は、私たち人間の迷いの世界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)を救ってくれる6体のお地蔵様です。よく見ると、右から2番目の「地獄道」を救うお地蔵様だけが、片足を少し前に出して今すぐ助けに行こうとする姿をしています。

ぬれ仏(延命地蔵)は、六地蔵のすぐ左隣にある、大きなブロンズ製の座像です。1722年に建立され、江戸の大火で有名な「八百屋お七」の霊を慰めるために恋人の吉三郎が建てたという伝承が残っています。
【重要文化財「三門(山門)」】歴史ある大楼門

参道の突き当たりにそびえ立つ、二階建ての巨大な門です。1750年に建立された日本最大級の栩葺(とちぶき)建築です。2階建ての門の形式としては、日本で初めて重要文化財に指定された歴史的建造物であり、参拝者が本堂に入る前に心身を清める「最後の関門」としての役割を持っています。

1750年(寛延3年)に建立され、270年以上の歴史を誇ります。幾度もの大地震や大火を免れ、建立当時の姿を今に伝える貴重な建物です。仏教における3つの解脱(げだつ)の境界である「空門・無相門・無願門」を表すことから、正式には「三門」と表記されます。

拝観料(大人500円)を支払うことで、狭く急な木製階段を登って2階の内部に入ることができます。
【大香炉】無病息災を願う線香の煙

善光寺の大香炉(だいこうろ)は、山門をくぐり抜けた先、国宝「本堂」の目の前の広場に鎮座する巨大な青銅製の香炉です。香炉から立ち上るお線香の煙を体に浴びることで、本堂の仏様の前に進むにふさわしい状態へと心と体を清める(魔を祓う)ことができます。
大香炉の煙で身を清めたら、いよいよ目の前の国宝へ入ります。
【国宝「本堂」】お戒壇巡りと圧巻の木造大建築

善光寺の本堂(ほんどう)は、1707年(宝永4年)に再建された江戸時代中期を代表する仏教建築であり、現在は国宝に指定されております。木造建築としては東日本最大級の規模(高さ約26m、間口約24m、奥行約54m)を誇り、その独特な構造と地下に眠る数々の信仰体験が参拝者を引きつける最大の理由と思われます。堂内は撮影禁止となっておりますので、注意しましょう。
日中は非常に混雑する為、午前中がおすすめです。
【忠霊殿(善光寺史料館)】歴史ある仏像や絵馬を展示

日本忠霊殿(にほんちゅうれいでん)・善光寺史料館は、戊辰戦争から太平洋戦争に至るまでに亡くなられた240万余柱の英霊を祀る日本唯一の仏式霊廟(れいびょう)であり、その1階部分が善光寺の歴史と宝物を伝える「善光寺史料館」として一般公開されています。

史料館の単体券はありません。本堂のお戒壇巡りをする際に購入する「本堂内陣券」(大人800円)を提示すれば、そのまま無料で入場できます。また、山門・経蔵もすべて巡る共通セット券(大人1,500円)でも拝観可能です。
【大勧進・大本願】善光寺を支える2つの本坊

大勧進 護摩堂(だいかんじん ごまどう)は、善光寺の山門手前を左に曲がった先にある、天台宗大本山「大勧進」の境内中央に建つお堂です。善光寺本堂が宗派を問わない「供養」の場であるのに対し、この大勧進護摩堂は密教の強力な火の儀式によって現世利益(厄除け、家内安全、諸願成就など)を祈願することで絶大な信仰を集めています。

お堂の内部には、智証大師(ちしょうだいし・円珍)の作と伝えられる極めて霊験あらたかな「不動明王像」が御本尊として安置されています。古くから全国の庶民の間で「厄除不動尊」として親しまれ、日本三大不動の一つにも数えられています。

善光寺大本願(ぜんこうじだいほんがん)は、表参道の終点「仁王門」の手前左側に位置する、浄土宗の大本山です。大本願の最大の歴史的特徴は、開山以来、代々の住職(トップ)を皇族や公家(近衛家や鷹司家など)出身の女性(尼公上人)が務めてきたことです。

かつての仏教界は「女人禁制」の風習が色濃く残っていましたが、善光寺は「女性も差別なく極楽往生できる」という先進的な信仰を持っていました。大本願が尼寺として千年以上トップに君臨し続けている歴史こそが、善光寺が「女人救済の寺」と呼ばれる最大の証拠です。
【行事・御朱印情報】
【数え年7年に一度の壮大な行事】御開帳とは?
善光寺の御本尊(一光三尊阿弥陀如来)は、絶対に人の目に触れさせてはならない「絶対秘仏」です。そのため、御開帳の期間だけ、御本尊とまったく同じ姿をした身代わりの仏像である「前立本尊(まえだちほんぞん)」(重要文化財)が特別に公開されます。本来の周期であれば前回の7年後となる2028年(令和10年)の開催予定でしたが、前々回(2021年予定)がコロナ禍で1年延期(2022年開催)となったため、経済界や社会的な要望を踏まえて従来の周期に戻す形で2027年の開催となります。

次回、2027年(令和9年)4月4日(日)〜 6月19日(土)の77日間にわたり開催されます。
なお、近年の具体的な開催実績と参拝者数は以下の通りです。
| 開催年 | 開催期間 | 日数 | 参拝者数 | 備考 |
| 2022年(令和4年) | 4月3日 〜 6月29日 | 88日間 | 約636万人 | コロナ禍による1年延期・期間延長 |
| 2015年(平成27年) | 4月5日 〜 5月31日 | 57日間 | 約707万人 | 過去最多の参拝者数を記録 |
| 2009年(平成21年) | 4月5日 〜 5月31日 | 57日間 | 約673万人 | |
| 2003年(平成15年) | 4月6日 〜 5月31日 | 56日間 | 約628万人 | |
| 1997年(平成9年) | 4月6日 〜 5月31日 | 56日間 | 約515万人 |
【御朱印】

【善光寺の現地参拝レポート&評価】
善光寺 現地参拝レビュー・評価スコア
| 評価項目 | スコア | 特徴・ワンポイント |
|---|---|---|
| 歴史・由緒 | (5.0) | 約1400年の歴史を誇る無宗派の古刹。国宝本堂と「絶対秘仏」の信仰 |
| 規模 | (5.0) | 国宝の本堂・重文の山門・多数の宿坊・門前町が広がる圧巻の境内 |
| 御朱印種類 | (5.0) | 本堂・大勧進・大本願・各宿坊や限定切り絵御朱印など極めて豊富 |
| アクセス | (4.5) | JR長野駅から頻発する路線バスで約10分。大型駐車場も周辺に完備 |
| 自然・景観 | (4.0) | 石畳の石段や山門からの絶景、四季の行事が映える荘厳な景観 |
| 静けさ | (3.0) | 年間通して参拝客で賑やか。朝の「お朝事」の時間帯は厳かな静寂 |
※長野市を代表する屈指の観光・信仰スポット。日中は観光客で賑わいますが、早朝の「お朝事(おあさじ)」の時間帯に訪れると大変厳かな雰囲気を体感できます。
現地レポ|実際に訪れた感想
一生に一度は善光寺参り。牛に引かれて善光寺参り。などと言われるように、一度は訪れたいお寺として、全国的にも有名です。長野駅からは歩いてもいける代表的な観光スポットです。表参道の街並み、仲見世通り、参拝含めて楽しめます。お蕎麦、おやき、みそなど長野の名産品ももたくさんあるので、観光とグルメと両方とも楽しめますね。
【あわせて巡りたい周辺観光スポット】
武井神社、妻科神社、湯福神社、武水別神社
Kanataの神社・お寺めぐりナビ

