【前玉神社 概要】
前玉神社(さきたまじんじゃ)は、埼玉県行田市にある千数百年の歴史を持つ古社であり、「埼玉」という県名の発祥の地として知られています。さきたま古墳群のなかにある浅間塚という古墳の上に社殿が建てられています。
【前玉神社 創建由緒】
創建年代は詳しく分かっていませんが、稲荷山古墳から出土した鉄剣の銘文により、5世紀後半にはすでに大和朝廷の支配がこの地に及んでいたことが判明しています。その為、大化の改新(645年)よりも1世紀以上古い「古墳時代(400年代後半〜500年代前半)」にまでさかのぼると推定されています。近隣の「さきたま古墳群」を築いた北武蔵国の地元豪族や首長層が、古墳群を守護する神(国神)として祀ったのが始まりとされています。古代の祀られ方の名残として、社殿は周囲の古墳群に向かって祈願するように建てられています。
ご祭神は。前玉彦命(さきたまひこのみこと)・前玉姫命(さきたまひめのみこと)の二柱を祀っております。
【前玉神社 御神木】

参道入口に佇む御神木の「槙(まき / イヌマキ)」は、推定樹齢約600年、樹高約20mを誇る埼玉県内最大のイヌマキの巨木で、江戸時代から明治時代にかけて盛んだった「御嶽山信仰」の信者たちによって奉納・植樹されたものと伝わっています。

樹幹の中心部には、長い年月をかけて形成された大きな空洞(うろ)があり、「木曽御嶽神社」の石碑がすっぽりと包み込まれるように祀られていました。 1964年(昭和39年)に行田市の指定天然記念物に登録されております。
【前玉神社 鳥居】
神社の参道入口に立つ「一の鳥居」は、江戸時代初期の1676年(延宝4年)に建立された歴史ある石鳥居であり、平成11年に行田市の指定有形文化財(建造物)に登録されています。

鳥居の中央に掲げられた石の扁額には、「富士山」の文字が刻まれています。これは江戸時代、神社が浅間塚古墳の上にあることから「浅間神社(富士山を神体山とする信仰)」として多くの人々に親しまれていた名残だと思われます。
【前玉神社 風鈴の参道】

参道に木製の風鈴棚が設置され、風が吹き抜けるたびに心地よい涼しげな音色が響き渡ります。古来より、風鈴の音色には「魔除け」や「災いを祓う」という意味が込められています。厳しい夏の暑さをしのぎ、半年の無病息災を祈りながら風鈴のトンネルをくぐることで、心身が清められるとされています。
【前玉神社 手水舎】

行田市では、参拝者に癒やしを届けるために「花手水week」が毎月定期的に開催されています(主に毎月1日〜14日)。前玉神社の手水舎もメイン会場の一つであり、 季節の花々(初夏の紫陽花、バラ、カーネーションなど)が手水鉢いっぱいに浮かべられ、毎回異なるテーマで華やかに彩られています。
【前玉神社 神楽殿】

参道沿いに神楽殿が見えてきます。毎年夏(7月下旬〜8月上旬頃)には、この神楽殿を舞台にした「七夕儀(しちせきぎ)」という特別な行事が開催されます。参拝時は、ちょうどこの祭りが終わった後でしたので片付けをしていました。
【前玉神社 茅の輪くぐり】

半年間(1月〜6月)の間に知らず知らずのうちに身に付いてしまった「罪」や「穢れ(けがれ)」を祓い清め、残りの半年の無病息災を願うため、毎年6月下旬から7月、そして8月の七夕行事の時期にかけてこの茅の輪が設置されています。
【前玉神社 社殿】
全国でも珍しく、高さ約8.7mの浅間塚(せんげんづか)古墳の頂上に拝殿と本殿が佇んでいます。浅間塚古墳は、7世紀前半(古墳時代終末期)に築造された大型の円墳です。

現在も神社の神聖な境内地(ご神体)となっているため、大規模な発掘調査を行うことが難しく、真相は古代の謎のまま守られています。

社殿の柱や梁を飾る力強い龍や獅子、仙人などの細緻な立体彫刻が二段にわたって設けられています。軒下に施されたこれらの緻密な意匠は、大正時代に活躍した彫刻師・内山良雲(うちやまりょううん)の手によるものと伝わっています。木目が美しく活かされ、建物の厳かな雰囲気をさらに引き立てています。
【前玉神社 末社 浅間神社】
戦国から江戸時代にかけて、近くの忍城内から現在の浅間塚古墳へと移設されました。明治以前の神仏習合期には、古墳の頂上にある本殿を「上の宮」、この中腹にある浅間神社を「下の宮」と呼び、一体の聖地として信仰されていました。安産や子育て、火難除けの神様として親しまれています。

ご祭神は、木花開耶媛命(このはなさくやひめのみこと)を祀っております。
【前玉神社 龍泉池】
龍泉池(りゅうせんいけ)は、水神である龍神が祀られた神秘的な池です。古くからこの池には「自然と人間の世界を守り、病気や災害を祓い清める龍王の力」が込められていると伝えられています。

池のほとりに龍神(水神)が祀られているスタイルは、出雲地方の神話や祭祀文化に深い共通点を持っています。古代にこの地へ移り住んだ出雲系の氏族が、水を司る聖地としてこの池を祀り始めたのではないかという歴史的な推測もなされています。土日祝日などの限定日には、行田市の地域イベントとして人工のミスト(雲海)が立ち込める演出が行われます。
【前玉神社 御朱印】

【金沢製菓】

金沢製菓は、前玉神社のすぐ隣(門前)に店を構える、安政5年(1858年)創業の歴史ある老舗和菓子店です。150年以上の歴史を誇り、国内産の材料と職人による手作りにこだわった素朴で懐かしい味わいの和菓子を提供しています。前玉神社の参拝や、近くのさきたま古墳群を観光する際の立ち寄りスポットとして非常に人気があります。

「ねこもなか」は、隣接する前玉神社に暮らす看板猫たちをモチーフに誕生した、大人気の参拝土産です。2020年10月末に発売されて以来、猫好きの参拝客や観光客の間で「かわいすぎる」と口コミで話題を呼んでいます。※写真は我が家の猫です。
【前玉神社 近くにある観光スポット】
古代蓮の里&行田タワー、埼玉県立さきたま史跡の博物館、行田八幡神社、忍城 御三階櫓、忍東照宮
【前玉神社 アクセス】
管理人の感想
埼玉県名発祥の地とされる千数百年の歴史を持つ前玉神社を訪れました。季節を彩る華やかな花手水や、 色とりどりの風鈴が響く参道で「茅の輪」をくぐると、暑さのなかでも心が清められました。さらに浅間塚古墳の頂上へのぼり、拝殿で大正時代の緻密な木彫り装飾に圧倒されます。古代の祈りと現代の癒やしが包み込んでくれる素晴らしい参拝でした。
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