【三宝寺 概要】
三宝寺(さんぽうじ)の創建は、石神井氷川神社と同じく室町時代の応永年間(1394年-1428年)と伝えられています。正式名称は、石神井山 三宝寺(しゃくじいざん さんぽうじ)。石神井城主・豊島氏が、自らの菩提寺(一族が眠るお寺)として、また城の防衛の拠点の一つとして建立したのが始まりです。1477年の石神井城落城後は、一旦衰退しましたが、徳川家康が関東に入ると「御朱印地(幕府から認められた土地)」として厚い保護を受け、再び繁栄しました。
ご本尊は十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)を祀られております。
【三宝寺 御成門】
参道を進むと立派な門が見えてきます。

御成門(おなりもん)は、徳川三代将軍・家光公が鷹狩りの際に三宝寺に立ち寄った際、将軍だけが通るために造られた門です。具体的な建立年については諸説ありますが、江戸時代初期の寛永年間(1624年〜1644年)に作られたものと伝えられています。

徳川三代将軍・家光が鷹狩りで三宝寺を訪れるようになった時期に合わせて整備されました。
【三宝寺 梵鐘】
御成門の隣に、梵鐘があります。

三宝寺の梵鐘(ぼんしょう)は、御成門と同じく、三代将軍・家光の時代に作られた歴史的な鐘であり、江戸時代を代表する鋳物師(いもじ)、椎名兵庫良寛による名品だそうです。第二次世界大戦中、多くの寺院の鐘が金属供出(兵器の材料として回収)されました。しかし、この鐘はその歴史的価値の高さから供出を免れ、今もここに残っています。現在は、練馬区指定有形文化財に指定されています。
【三宝寺 開運出世大黒天】
御成門の先に、開運出世大黒天のお堂が見えてきます。

三宝寺は落城後、一時衰退しましたが、江戸時代になり、徳川将軍家から「御朱印地(幕府公認の領地)」として厚い保護を受け、見事な復活と繁栄(出世)を遂げました。この「一度没落しても、再び大きく花開いた」というお寺の歴史そのものが、「運を開き、出世する」象徴とされ、そのパワーを象徴する神様として大黒天が祀られました。

将軍という最高権力者が訪れる「縁起の良い場所」として、その福徳を地域の人々にも分け与えるために、福の神の代表である大黒天が重要視されたと思われます。
【三宝寺 手水舎】
大黒天から先に進むと手水舎と本堂が見えてきます。

手水舎は質素ながら人感センサー付。近づくと水が溢れだします。
【三宝寺 本堂】

本堂は室町時代の応永年間に建てられましたが、1477年の石神井城落城に伴う戦火などで、当初の建物は失われております。現在の本堂は、江戸時代後期の文政年間(1818年-1831年)に再建された建物です。
【三宝寺 根本大塔(多宝塔)】
本堂から右側に目を向けると多宝塔と観音像が見えてきます。

根本大塔(こんぽんだいとう)は、開創600年記念事業の一環として建設されました。
【三宝寺 平和観音像(十一面観世音菩薩)】

平和観音像は、終戦から8年後、まだ戦争の傷跡が深く残っていた時期に、第二次世界大戦の戦没者の供養と、二度と悲惨な戦争が起きないようにという「世界平和」を祈念して1953年(昭和28年)に建立されました。
【三宝寺 如意輪観音堂】
如意輪観音堂(にょいりんかんのんどう)の現在の建物は、江戸時代後期の1842年(天保13年)に再建されたものです。

ご本尊は如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)を祀られております。
【三宝寺 四国八十八ヶ所お砂踏み霊場】

四国八十八ヶ所お砂踏み霊場は、四国まで行かずとも、境内の短い距離を歩くだけで四国遍路と同じ功徳(ごりやく)が得られるとされる、非常にありがたい修行の場です。

四国まで行くのが困難だった人々(お年寄りや病気の人、貧しい人など)でも、仏様とのご縁を結べるようにという、お寺の深い慈悲の心から整備されました。

作法としては、入口の弘法大師(お大師様)の像にご挨拶をし「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と心の中で唱えながら、番号順に進みます。

四国八十八ヶ所お砂踏み霊場の途中にひっそりと佇む稲荷神社は、「成田山出世稲荷(なりたざんしゅっせいなり)」です。日本の仏教(特に真言宗などの密教)では、お寺の境内に神様(鎮守神)を祀ることがよくあります。この稲荷様は、三宝寺の境内や修行の道を見守る「守護神」として千葉の成田山新勝寺にある「出世稲荷」を勧請したものです。
【三宝寺 旧勝海舟邸長屋門】
旧勝海舟邸門(きゅう かつかいしゅうてい もん)は、幕末の風雲児・勝海舟が暮らしていた屋敷の遺構です。明治時代、勝邸が人手に渡る際、三宝寺の時の住職が「歴史的な価値があるものを守りたい」と願い出て、この地に移築されました。

西郷隆盛との江戸城無血開城の談判に向かう際など、勝海舟自身が毎日ここをくぐっていたと思うと、感慨深いものがありますね。
【三宝寺 近くにある観光スポット(徒歩30分圏内)】
石神井氷川神社、道場寺、石神井公園、練馬区立石神井公園ふるさと文化館
散策ルートなどは以下にまとめましたので、ご参考になればと思います。
【三宝寺 アクセス】
管理人の感想
氷川神社の「静寂な森」とは対照的に、平和観音像や、鮮やかな朱色の根本大塔などを見ると、こちらは人の手によって積み上げられた「祈りの形」の力強さが感じられます。特に四国八十八ヶ所巡りの石仏が並ぶ小道は、自分自身と静かに向き合える特別な空間でした。
徳川将軍専用の気品ある「御成門」から、勝海舟邸から移築された重厚な「長屋門」まで一つの境内に室町時代、江戸、幕末の記憶が共存しており歴史の厚みがあるお寺で大満足な散策でした。
【御朱印・絶景】日本の神社仏閣めぐり – JAPAN SHRINE GUIDE 





